こんにちは、H.R.です
今回は就活生の間でホワイト+高給で人気の高い資産運用業界のファンドマネージャーという職種について説明していこうと思います。(ファンドマネージャーは実際ホワイトではありません)この記事を執筆している時点で、私は現在大学四年生であり、就活を進める上で調べ上げた情報を分かりやすくまとめました。
H.R.の経歴
京都大学経済学部、一年間の米国留学経験あり。就職活動は夏からインターンシップへの参加を開始し、合計で13社(ITコンサル・戦略コンサル・外資系投資銀行・シンクタンク・資産運用会社・スタートアップなど)の複数日に渡る対面インターンシップを経験。外資系投資銀行のOB・OG訪問や資産運用会社の社員との面談を通じて資産運用業界に関する知識量・情報量は就活生の中でトップを取れる自信がある。金融系の中でも証券および資産運用会社のみしか見ておらず、早期選考・本選考に申し込んだのも証券+資産運用会社ばかり。結果として2024年4月から資産運用業界で働く予定。
目次
- ファンドマネージャーとは
- ファンドマネージャーの株・債券の調査・分析について
- 一日の仕事の流れ
- ファンドマネージャー志望の学生の併願先
ファンドマネージャーとは
ファンドマネージャーとは信託銀行、銀行、資産運用会社の中で実際に株や債券、オルタナティブを売買して利益を上げる職種のことを言います。例えばA株を売って代わりにB株を買おう、だったり日本の3年国債を買って、代わりに10年国債を売ろうとするのがファンドマネージャーです。
ファンドマネージャーが取り扱う主な商品は年金、NISAやiDecoなどの投資信託です。私たちの企業年金(確定拠出年金など)や投資信託は全てファンドマネージャーが取り扱っており、私たちの年金が増えるか減るか、NISAに投資したお金が増えるか減るかは全てファンドマネージャーの腕にかかっています。
しかし、私たちは実際にファンドマネージャーを窓口で見たことがありませんし、彼らがどこで働いているのかも分かりません。それもそのはず、彼らは信託銀行、銀行、資産運用会社の本社(東京)で働いており、本社には個人顧客と接するための窓口もないため、実際にファンドマネージャーを目にする機会はゼロです。そのため、ファンドマネージャーを希望する就活生は必ず東京の本社勤務をすることになります。
新卒採用でファンドマネージャーになれるかもしれない企業の一部です
- 野村アセットマネジメント
- 大和アセットマネジメント
- 三井住友DSアセットマネジメント
- 東京海上アセットマネジメント
- アセットマネジメントOne
- BlackRock
- Point72
- 三菱UFJ国際投信
- 三菱UFJ信託銀行
- みずほ信託銀行
- 三井住友信託銀行
それではファンドマネージャーは年金、NISAなどの投資信託を一人で担当して私たちのお金を増やす努力をしているのでしょうか?答えをいうと、いいえです。一人ではできないので業務が細分化されています。
もう少し具体的なお話をすると、日本株には日本株担当のファンドマネージャーが、海外債券には海外債券担当のファンドマネージャー、オルタナティブの中でも不動産を取り扱う専門のファンドマネージャーなど、ファンドマネージャーと言っても様々な種類があります。
以下、有名なファンドマネージャーの担当領域です。
- 日本株
- 海外株
- 国内債券
- 国外債券
- オルタナティブ(これは最近取り扱うファンドの種類がどんどん増えていっています)
それでは日本株のファンドマネージャーを例に挙げてもう少し細かく見ていきましょう
日本株のファンドマネージャーといっても全ての上場している日本株(銘柄とも呼ぶ)を見ているわけではありません。日経平均株価を計算する元となっている225銘柄全てを網羅しているわけでもありません。それほど多くの銘柄の動向を常に注視するのはなかなか難しいです。
じゃあ、どの銘柄を見ているのかというとファンドマネージャーによりけりです。これはファンドマネージャーが担当しているファンドに依ります。例えば日本の大企業のみに特化したファンドをあるファンドマネージャーが担当している場合、その人が見るべき銘柄は大企業のもののみとなります。他にも日本の大企業じゃないけれども有名な企業(中小株)のファンドであれば、中小株を見ることになります。
どのようなファンドがあるのか実際に具体例を挙げると、
これは野村アセットマネジメントの好配当日本株式オープンというファンドで高配当の株式を中心に投資をすすめるファンドです。なので、このファンドを担当するファンドマネージャーは日本株のファンドマネージャーだと考えられます。
こちらは三井住友DSアセットマネジメントのグローバルAIファンドです。世界の上場株式の中からAIによる高い成長が見込まれる企業に投資するファンドとなっています。マザーファンドを通じて世界中の株式に投資しているようです。おそらく、日本株のみを日本のファンドマネージャーが担当して、残りの世界株式は外部に委託しているのだと考えられます。
海外株、国内債券などのファンドマネージャーにも同じ事が言えます。全ては担当しているファンドの内容次第で、どの銘柄及び債券を分析・調査するかが変わってきます。
ファンドマネージャーの株・債券の調査・分析とは何をするの?
ファンドマネージャーは自分の担当しているファンドの運営成績が良くなるように、自らの調査・分析を元に投資の売買を決定します。そもそもファンドマネージャーはファンドの運用成績が好調でしっかりと利益を出すことができていれば、自分が会社からもらえる給料も伸びるような専門職の給与体系となっている(転職サイトを見ればファンドマネージャーの給与体系について書いてあります)ので、株や債券の売買を行うことで利益を創出することが求められており、一筋縄ではいかない投資の世界ではしっかりとした調査・分析が必要となります。
それではどのような調査・分析を行っているのでしょうか?(就活で仕入れた各企業の調査方法は詳細に話すことは禁じられているため、書籍を読めば分かるようなことを以下には書き留めてあります)
ファンドマネージャーの分析方法はまずスクリーニングをすることから始まります。それぞれのファンドマネージャーが担当しているファンドによってどのように投資していくかが異なってきます。
例えば上述した野村アセットマネジメントの好配当日本株式オープンのファンドであるとすると、
- 配当がある株式に絞る(第一スクリーニング)
- 1で絞った中から自分たちで設定した水準を超える高配当株を更に選出する(第二スクリーニング)
- 2で絞った中から、例えば将来性のある企業に絞り込みを更にかける(第三スクリーニング)
- 3で絞った中からまた別の視点でスクリーニングをかける(第四スクリーニング)
- またまたスクリーニング
- またまたスクリーニング
- 10銘柄ほどに絞り込みをかける
以上のように分析は進められます
以上の過程で何度もスクリーニングがかけられますが、そのたびに経済指標や株価動向、財務諸表などに目を通し、企業の将来性や利益率に注意して絞り込みが進められます。
ところで、ファンドマネージャーは本当に必要とされているのでしょうか?正直このような絞り込みはコンピューターや私たちのような素人にも可能な手法です。株価動向や利益率もすべてみんかぶといったようなインターネットサイトで完結してしまいます。また国内動向だけでなく、国際的な金利動向、政治動向もインターネットのおかげで誰でもアクセスできるものとなってしまっているため、ファンドマネージャーと凡人との間で何か差があるのか??と疑問視せざるを得ません。
実際に私の知り合いで投資経験無しの素人が200万円を270万円に増やしたという実績もあり、ファンドマネージャーが本当に必要なのかどうか懐疑的になってしまいます。
それではファンドマネージャーは一体どのようにして私たち凡人のような素人投資家とプロである彼ら自身を差別化しているのでしょうか?
三井住友DSアセットマネジメントが自社HPで連載しているNoteの記事によると、「経営陣の話を直接聞きに行くことで会社に対するより深い分析ができる、そしてこの経営陣との対話がより精密な分析を可能にするのではないか」という主旨の内容が語られています。(Noteの記事はこちらから)
またファンドマネージャーが凡人と異なるもう一つの点として、横とのつながりがあります。ファンドマネージャーは資産運用会社に勤めるアナリストに話を聞くだけでなく、証券会社のアナリスト、エコノミストとも連携をとりながら情報交換を進め、より精緻な分析ができるように日々努力しています。
つまりファンドマネージャーは経営陣や企業のIR担当者などと対話する機会があり、ずっと机の前に張り付いてパソコンを見ているだけの職業ではありません。証券会社のアナリストやエコノミストとも対話を重ね、新たに投資機会を発掘したり、分析を深めたりするので、一人で黙々と作業を続ける時もあれば、他企業の社員と交流して話し合いをする時もある職業なのです。
ファンドマネージャーの一日のスケジュール
ファンドマネージャーは毎日この時間にこれをすることが決まっているような作業はありません。
まずそもそもどのような仕事でもそうですが(就活でOB・OG訪問をした際に色んな職業の人達の一日の流れについて質問しましたが)、事務や事務に近いバックオフィス業務の仕事でない限り、毎日ある一定の時間帯にこなす仕事が定まっていることはありません。
仕事内容として考えられるのはメールチェック、株価・金利動向の把握・経営者や企業IR担当への訪問などが挙げられます。日によって経営者や企業IR担当への訪問が3回もあったり、一回もなかったり、終日パソコンとにらめっこしたり、日によって作業内容はまちまちです。
ファンドマネージャーを志望する学生は他にどんな企業を見ているの?
ファンドマネージャーを志望する学生が資産運用業界以外で併願する業界は証券会社です。証券会社といっても業務範囲は広大ですが、彼らが見ているのは証券会社の投資調査部門といったアナリストやエコノミスト業務です。
ファンドマネージャーとアナリスト、エコノミストの業務内容にはほぼ差がありません。そのためファンドマネージャー職を志望する学生は証券会社のアナリストやエコノミスト、資産運用会社のアナリスト、もしくは機関投資家(保険会社や年金機構など)のアナリストも志望先として考えていることが大半です。
アナリストやエコノミストが在籍する企業の例として挙げられるのは
- 野村證券
- 大和証券
- みずほ証券
- ゴールドマンサックス
- バンクオブアメリカ
などのような日系証券会社や外資系投資銀行(投資銀行は証券会社と考えてもらって大丈夫です)もあれば、
- 野村アセットマネジメント
- 大和アセットマネジメント
- 三井住友DSアセットマネジメント
- 東京海上アセットマネジメント
- アセットマネジメントOne
- BlackRock
- Point72
- 三菱UFJ国際投信
などの資産運用会社などもあれば
- 日本生命
- 日本年金機構
- 農林中央金庫
- 三菱UFJ信託銀行
- みずほ信託銀行
- 三井住友信託銀行
などの機関投資家もあります
色々比較検討した上で志望先の企業を絞りましょう(ちなみに私は全て調べ上げました)